2005-08-20

月と花火

岬の入り江、月の道
波音ゆらゆら
響いて揺れて
耳に体に届いて染みて
潮の香りにわたしも香る

水平線に灯る花火
赤いリズムに弾けて笑う

今夜の月は、優彩の橙
ゆらゆら響いて溶かして揺れて


2000.08.04



5年前の夏、 仕事帰りに車で荒崎へ向かった。

人けのない荒崎の入り江。
視界が群青色に染まり始めた頃、橙の大きな月が昇っていくのを見た。
半熟卵の黄味がかったライトは水面を照らしながら海を離れ、しだいに景色をまあるい月夜に塗り替える。 そのうち、暗い水平線の彼方に赤や黄色の光が弾けだした。
あれは、どこの花火だったのだろう。

あのときの潮の香り……。
夏の夜の満月を見ると、ふと深呼吸をしてみるけれど、 光景は浮かべど匂ひは届かず。