2005-11-30

腹の虫



腹の虫が治まらないと腹の虫は鳴くのを忘れる。
腹が居るには、腹が癒えるようにせねばなるまい。
腹を読むことを覚えぬ相手に理解は請わず、 腹を据えて為すべきことのみ伝えるがいい。
腹に仕舞うなら、あとあと腹かくものかと腹を括る。
いずれにしても腹に持つことのないよう腹に落ちるようにすることだ。

腹の虫に対処しておかねば、一匹、二匹、三匹と 居座る虫で腹が脹れるばかりか腹悪しくなり、 心身ともに良くないうえに次の縁まで悪くする。
腹を合わす相手すら遠ざけてしまわぬよう、いっとき腹の虫と付き合うがいい。

自分の腹は自分にしか治められない。
だから、誰のものでもない腹の虫を無視しちゃならない。
そうすりゃ、意外と腹から立って治まりつかないでもない腹の虫。

正体を見抜けなかった愚かさと、あらぬ期待に腹合わすことの叶わぬ落胆を知らしめ、己が精進のために引き寄せた縁。
善人ぶって分かったように「この縁に感謝」などと自分の腹に偽れば、得るところなく再び事を仕損ずる。
形を変えて、再び同じように腹が煮える。

掬えぬ縁を己が意識から締め出す前に、嗅ぎ損じた臭いを嗅覚に焼き付けよう。
縁が落とした不愉快の実を、食って血肉にすると腹ができれば拳も開く。
掬えぬ縁は掬わぬと、天に返すがごとく高く手放し、腹から一呼吸。
気がつけば腹が減ったと虫が鳴く。


たまに怒ってみると、本当に腹に虫がいることが分かるから面白い。
心中を腹で感じることを改めて体感してみる。
すでに腹は癒え、出来事は過去になった。